odasemi2016 共同研究(3年)

なぜ共同研究からスタートするかと言えば、何より、個人で研究をスタートできる3年生はかなり少ないからだ。私の基礎ゼミなら共同研究をさせるので、1度は経験して研究の手順を覚えているが、他のクラスだとそうした経験がない場合も多い。ましてや1年次のクラスは選べないので、3年全員があらためて前期に共同研究をしている。研究テーマを自分たちで決めさせるが、これが非常に難しい。調べたらすぐに判明してしまうこともあるし、逆に、調べても科学的には検証不可能なものもある。議論していくうちに、「現象面は何かしらおもしろそうなものだが、そのウラに何か原因というか知らない法則や原理が隠れている(かもしれない)」というテーマに絞り込まれていく。

そして、ゼミとは別な時間にサブゼミという共同研究などを行う時間を各班で作っている。図書館のディスカッションルームなどは、資料や文献をすぐに持ってきて検討できるうえ、パソコンも持ち込めるので、共同研究には便利な作業スペースだ。(ただし、あまり議論が活発化し、声が大きくなると係員に注意されるらしい)

ちなみに共同研究のテーマは、

1.マンガ誌からみるジェンダーイメージ
2.集団とファッション
3.若い世代に見られるキャラコミュニケーションの実態
4.世代別大学生イメージとその意味

で、テーマの言葉はよくありそうなものだけれど、視点や検証方法がどれも斬新なものだった。 [2013.7.5]

議論の訓練

ああでもないこうでもない、何をどうしたら何がわかる?等々、笑ったり騒いだりしながら大まじめに議論しているのは3年ゼミの共同研究テーマ絞り込み。メディアやコミュニケーションがらみのことは、トピックとしての候補は多いが、2ヶ月ぐらいでまとめ上げることのできる研究テーマとなれば、結構ハードルは高い。

この日の候補は、「男子が女の子向けのマンガを見ることと、女子が男の子向けのマンガを見ることには外からの視線が異なるが、そこから何がわかるか」、「大学生というステレオタイプと実際の大学生が持つ大学生像の違い」「学科やサークルなどのグループ(小集団)とファッションの傾向性」など、目に見える現象からその裏にひそむ法則や原理を探ろうというものだった。どのテーマ案もゼミ生が提案した身近な疑問だが、これを研究の領域までにするには結構大変な作業だ。

性別とマンガの議論でも、ステレオタイプが作用しているらしいというところまでは議論が進み、まずはステレオタイプの意味や機能を探ってみることになっ た。最初は、あのマンガ見たとか、おもしろいマンガだったとか、話しがそれてしまうこともしばしばで、本題が何だったかを忘れてしまうことも多かったが、 この頃は教員が脇道へそれていることを指摘する前に「で、これは結局どういうアプローチで調べていくの」などと学生が自分たちで議論の道筋を理解し修正しながら進めてくれるようになったので、私としてもとてもうれしい。

ゼミは学生が主体。しかし、サークルや友達のように話題がどんどんそ れていっても楽しければそれでいい、というような集団ではないし、議論の目的も違う。ところどころ脇道にそれながらも、きちんと研究の方向を理解し、共同 研究発表という目標に向け、考え、発言していく。こういう訓練は大学だけでなく、社会に出てからもとても役立つだろうと思う。

今週のゼミもまたガラス張りのゼミ室で「ああでもない、こうでもない」の議論が続く。  [2013.7.3]